韓国は日本から近く、食事や買い物も楽しみやすい人気の旅行先です。一方で、見た目には似ていても、食事の作法や公共交通機関のルールには意外な違いがあります。
知らずにやってしまっただけでも、周囲を不快にさせたり、施設の利用を断られたりすることがあります。なかでも注意したいのは、次の5つです。
- 目上の人からお酒を受け取るときに片手だけを使う
- ご飯茶碗やスープの器を手に持って食べる
- こぼれやすい飲み物や食べ物を持ってバスに乗る
- 禁煙区域で紙巻き・加熱式・電子タバコを吸う
- 生きている人の名前を赤いペンで書く
ただし、韓国旅行で避けたい行動には、法律で禁止されているもの、交通機関の利用ルール、昔からの文化的マナーが混在しています。すべてを「違反」と考える必要はありません。この記事では、それぞれの違いが分かるように、旅行中によくある場面ごとに紹介します。
※制度、罰金、アプリの対応状況は2026年8月時点の情報です。実際の利用時は、現地の標識や施設スタッフの案内を優先してください。
韓国旅行のNG行動は、すべて同じ重さではない
まずは「マナー」と「ルール」を分けて考えると分かりやすくなります。
| 種類 | 代表的な例 | 起こりうること |
|---|---|---|
| 文化的なマナー | 目上の人へのお酒の渡し方、食器の扱い、赤字の名前 | 失礼、不吉だと思われる |
| 施設・交通機関のルール | バスへの飲食物の持ち込み、優先席、撮影禁止 | 乗車拒否、注意、退去要請 |
| 法律・条例 | 禁煙区域での喫煙、禁止区域の撮影 | 過料や法的トラブル |
| 旅行上の注意 | 地図アプリ、電話番号、Wi-Fi、タクシー | 予約できない、道に迷う、料金トラブル |
文化的なマナーを一度間違えただけで、大きな問題になることはほとんどありません。気づいた時点で直し、相手や周囲の様子に合わせれば十分です。一方、禁煙表示や撮影禁止表示など、明確なルールは必ず守りましょう。
韓国の文化・人間関係で避けたい行動
1. 目上の人からお酒を片手で受け取る
年齢や立場を重んじる場面では、お酒を注ぐ側も受け取る側も、両手を使うと丁寧です。グラスを片手で持つ場合は、もう片方の手を手首や腕に添えるだけでも印象が変わります。
かしこまった会食では、年上の人の正面を避け、体や顔を少し横に向けて飲む習慣もあります。ただし、友人同士やカジュアルな飲み会では、そこまで形式を気にしない人も増えています。迷ったときは、同席している人の振る舞いに合わせるのが自然です。
なお、「自分でお酒を注ぐのは絶対に禁止」というわけではありません。韓国では互いに注ぎ合う場面が多い、という程度に覚えておけばよいでしょう。
2. 人の名前を赤いペンで書く
韓国では、人の名前を赤字で書くことに不吉な印象を持つ人が少なくありません。特に、手紙、メッセージカード、名簿などに相手の名前を書くときは、黒か青のペンを選ぶのが無難です。
旅行者が知らずに使ったからといって必ずトラブルになるわけではありませんが、簡単に避けられる文化的タブーのひとつです。
3. 知らない人を無断で撮影する
街並みやカフェを撮るつもりでも、近くにいる人の顔がはっきり写ることがあります。特定できる状態で他人を撮影し、その写真や動画をSNSへ投稿するのは避けましょう。
次のような場所では、特に慎重な対応が必要です。
- 撮影禁止の表示がある軍事・保安関連施設
- 空港、駅、公共施設などの立入制限区域
- デモや集会の参加者を識別できる撮影
- 地下鉄や階段など、盗撮と誤解されやすい場所
人物を撮りたい場合は、先に許可を取るのが基本です。店内撮影も、スタッフへ一言確認してから行うと安心です。
4. 政治や歴史の話を軽い気持ちで持ち出す
日韓関係、領土、北朝鮮などの話題は、人によって受け止め方が大きく異なります。会話そのものが禁止されているわけではありませんが、旅行中にこちらから議論を始めるメリットはあまりありません。
相手から話題を振られたときも、すぐに賛否を示すより、「そういう考え方もあるんですね」と聞き役に回るほうが、不要な衝突を避けやすくなります。
韓国の食事マナーで日本人が間違えやすいこと
5. ご飯茶碗やスープの器を持ち上げる
日本では茶碗を手に持つのが自然ですが、韓国では器をテーブルに置いたまま食べるのが一般的です。韓国の食器には金属製や熱を保ちやすいものが多く、持ち上げないほうが安全という実用的な理由もあります。
「日本と逆」と覚えておけば、食事中に迷いにくくなります。
6. スプーンと箸を日本式に使う
韓国では、主に次のように使い分けます。
- ご飯・スープ:スッカラク(숟가락/スプーン)
- キムチ・ナムル・肉などのおかず:チョッカラク(젓가락/箸)
スープの器を口元へ運ぶのではなく、スプーンですくって飲むのが基本です。スプーンと箸を同時に握り続けず、使わないほうをテーブルへ置くと、所作もきれいに見えます。
7. ご飯に箸を立てる
ご飯の中央に箸を立てる行為は、故人への供え物を連想させます。これは韓国だけでなく、日本を含む東アジアの多くの地域で避けられている作法です。
箸やスプーンを休めるときは、器へ突き刺さず、テーブル上の所定の位置へ置きましょう。
8. 年長者より先に食べ始める
家族の集まりや目上の人との会食では、年長者が箸やスプーンを取ってから食べ始めると丁寧です。観光客向けの飲食店や友人同士の食事では厳格ではありませんが、正式な場では少し待つと好印象です。
地下鉄・バス・街中で気をつけたいルール
9. こぼれやすい飲食物を持ってバスに乗る
ソウルの市内バスでは、少しの衝撃でこぼれる可能性がある飲食物や、車内で食べることを前提とした包装されていない食品を持っていると、運転手の判断で乗車を断られることがあります。
特に注意したいのは、次のようなものです。
- ふたのないカップや、ストローを挿した缶飲料
- 使い捨てカップに入った飲み物や氷
- 開封したトッポッキ、チキンなどのテイクアウト食品
- 中身が漏れやすい容器
密閉したペットボトルや、こぼれないよう包装された食品まで一律に禁止されているわけではありません。ただし、最終的な判断は運転手に委ねられるため、乗車前に袋へ入れてしっかり閉じておくと安心です。
地下鉄については、車内飲食に対する一律の高額過料があると考える必要はありません。ただし、混雑時の飲食、匂いの強い食品、アルコール、こぼれやすい飲み物は周囲の迷惑になりやすいため、駅や車内では控えましょう。
10. 優先席へ気軽に座る
韓国の地下鉄には、車両の端に老弱者席(노약자석)、中央付近にピンク色の妊産婦配慮席(임산부 배려석)があります。
老弱者席は空いていても、必要な人のために座らず空けておく人が多い席です。妊産婦配慮席も、外見から妊娠中と分からない人が利用することがあります。対象者でなければ、一般席を利用するほうが無難です。
11. 禁煙区域で電子タバコを使う
韓国では、飲食店、医療機関、学校、官公庁など、多くの公共屋内施設が禁煙です。法律上の禁煙区域で喫煙した場合、10万ウォン以下の過料が科されることがあります。
また、自治体の条例により、屋外のバス停、公園、学校周辺、地下鉄出入口付近などが禁煙区域に指定されていることもあります。ソウルでは地下鉄出入口から10メートル以内も禁煙区域です。
紙巻きタバコだけでなく、加熱式タバコやニコチンを含む電子タバコも対象になります。「煙が少ないから大丈夫」と判断せず、흡연구역(喫煙区域)の表示がある場所だけを利用しましょう。
12. エスカレーターで周囲に合わせず歩く
韓国の車は右側通行ですが、駅や歩道では場所ごとに人の流れが変わります。「韓国では必ず右側」「エスカレーターでは必ず右に立って左を空ける」と決めつけず、床や案内板の矢印に従いましょう。
エスカレーター上を歩いたり走ったりすると、転倒や接触事故につながります。急いでいても立ち止まり、手すりにつかまるのが安全です。
旅行中の「困った」を防ぐスマホ・移動対策
13. 地図アプリをGoogleマップだけにする
韓国政府は2026年2月、Googleによる高精度地図データの国外移転を条件付きで承認しました。ただし、機能の反映には時間がかかるため、2026年時点でも端末や地域によっては徒歩・車の経路案内が十分でない場合があります。
旅行前には、Googleマップに加えて次のどちらかを入れておくと安心です。
- Naver Map:地下鉄やバスの検索、店舗情報、口コミをまとめて確認しやすい
- KakaoMap:徒歩・公共交通の経路や、韓国語の店舗情報を探しやすい
店名が見つからない場合は、日本語や英語ではなく、韓国語表記をコピーして検索するとヒットしやすくなります。
14. データ専用eSIMだけで、すべてのサービスを使えると思う
韓国の一部のレストランやカフェでは、店頭タブレットの順番待ち登録に韓国の010番号を求められます。ただし、すべての店で010番号が必須というわけではありません。
外国人向けのCatchtable Globalに対応している店なら、韓国の電話番号なしで予約やウェイティングを利用できる場合があります。未対応の店では、スタッフに外国人旅行者であることを伝えると、手動で受付してもらえることもあります。
人気店を多く回る予定なら、次のどちらかを準備すると便利です。
- SMSを受信できる韓国番号付きSIM・eSIM
- Catchtable Globalなど、外国人向け予約サービス
通信手段を選ぶときは、データ容量だけでなく「韓国の電話番号が付くか」「SMSを受信できるか」も確認しましょう。
15. 流しのタクシーや無料Wi-Fiを無条件に信用する
深夜や観光地では、行き先や料金の聞き間違いを防ぐため、配車アプリを使うほうが安心です。Kakao Tのほか、外国人旅行者向けのTABAなども選択肢になります。
乗車時は、次の点を確認しましょう。
- 車両番号とアプリ上の情報が一致しているか
- メーターまたはアプリに料金が表示されているか
- 目的地が正しく設定されているか
- 降車時に忘れ物がないか
韓国のタクシーは、日本のようにドアが自動で開閉しない車両が一般的です。乗り降りの際は自分でドアを扱います。
また、無料の公共Wi-Fiは調べ物には便利ですが、暗号化されていない回線でクレジットカード番号やパスワードを入力するのは避けましょう。決済や個人情報の送受信には、自分のSIM・eSIM回線を使うのが安全です。
トイレットペーパーは流す?ゴミ箱に捨てる?
韓国の新しい建物や一般的なホテル、商業施設では、使用済みのトイレットペーパーを便器へ流せる場所が増えています。そのため、「韓国では必ずゴミ箱へ捨てる」と覚えるのも正確ではありません。
一方、古い建物や一部の地方施設では、配管の事情からゴミ箱へ捨てるよう案内されることがあります。個室内の表示を確認し、次のように判断しましょう。
- 便器へ流す案内がある:便器へ流す
- ゴミ箱へ捨てる案内がある:備え付けのゴミ箱へ捨てる
- 表示が分からない:施設スタッフに確認する
現地の案内に従うことが、詰まりやトラブルを防ぐ一番確実な方法です。
韓国旅行前のチェックリスト
出発前に、次の項目を確認しておくと現地で慌てにくくなります。
- Naver MapまたはKakaoMapをインストールした
- 行きたい店の韓国語名と住所を保存した
- 人気店の予約・ウェイティング方法を確認した
- SIM・eSIMに電話番号やSMS受信機能があるか確認した
- タクシー配車アプリを登録した
- 禁煙マークと喫煙区域の韓国語表記を覚えた
- バスに乗る前に飲食物を密閉した
まとめ|韓国のルールは「表示を見る・周囲に合わせる」で困らない
韓国旅行では、日本との小さな違いを知っているだけで、食事や移動がぐっとスムーズになります。特に覚えておきたいのは、器を持ち上げないこと、目上の人には両手でお酒を渡すこと、こぼれやすい飲食物を持ってバスに乗らないこと、禁煙表示を見落とさないことです。
一方で、文化的なマナーを一度間違えたからといって、過度に心配する必要はありません。明確な禁止表示には従い、迷ったときは周囲の人やスタッフに確認する。この2点を意識すれば、余計なトラブルを避けながら韓国旅行を楽しめます。
